胃腸が銀杏に響く

ヘンゼルとグレーテル的夢の軌跡

第1話 ジャンプへのネーム持ち込みと課題点(1)

 この1週間で色々変わった。

 大きかったのは金銭面だ。今は奨学金+バイトで生活費を賄っているが、来期から学費も工面しなければならなくなった。ほぼ勘当だ。

 それに加え父が危篤になった。庭の剪定作業中に脚立から落ちるというどう考えても自業自得だが、数か月の入院を余儀なくされ、これで僕に対する金銭的なフォローが絶望的になった。

 家族構成を暴露すれば、母親が脳梗塞の後遺症で半身不随、祖母も玄関で転倒し体が不自由、残る妹は地元の専門学校に進学が内定し、来春に自動車免許を取るらしい。

 ふざけるな。どう考えても「帰れ」の状態だが、帰ってもすることが無いし人手と認識されれば大学に戻れなくなる。金の目処も立ってない。ほぼ片親なのに片親では無いから奨学金も授業料減額も無い。人を人として認識してないと思われてもしょうがないが、それは人間としての余裕がある時だけだ。不安で押しつぶされそうになって、先ある若者が未来を失いかけている状況では、人などただの手段に過ぎない。

 風邪も引き、スマホも割れた。母校はセンバツ出場を決めたらしいが。

 

 そんな中、初めての持ち込みに行った。

 

 大阪梅田のなんとかホテル、その2階。まあまあ人がいたが9割はモブで残りの1割はネット漫画で人気になってイキってる人なので問題は無い。

 そこそこ編集もいて、良い大学を出てる余裕もあったのかもしれないが、誰に対してもそこそこ偉そうだった。

 受け付けを済ませ1時間ほど待ち、持ち込みは5分で終わった。

 ボロクソに叩かれた。まあそんなもんだろうと思う自分に腹も立たなかった。

 思えば、あれだけ人がいるイベントが全国で5会場もやる訳で、編集もワンピースを探しているし、ジャンプもワンピースを求めているのは火を見るよりも明らかだった。

 別に僕は編集に対して、見る目が無いとか読解力が無いとは思わない。まあ僕が編集をやればもっと良いことが言えるしもっと良い漫画家を発掘できるとは思うが。彼らは一貫して売れる漫画を求めているし、僕らはそれに値する漫画を持ち込まなければならないからだ。

 

 さて、この記事の本題である。

 僕は9割のモブになりたい訳でも、1割のネット漫画家になりたい訳でもない。僕は0.01%のジャンプ作家になりたいので、言われた課題点を纏めることにした。

 言語化は大事だ。9割のモブはそれが出来ずに自滅する。残りの1割は言語化した課題を実行しないから自滅する。

 さあ、始めよう。

 

1. よく分からない

 そもそも内容が伝わらなかった。これが一番の問題だった。自分が描いたものと相手が読んだものがイコールで結ばれてなかったのだ。同人やネットで描くなら問題は無いが、商業でやるなら致命傷になる。白井カイウ先生も、チャレンジジャンプとかいうクソデカい冊子内で最重要項目に上げる程だ。

 これの課題点としては、カイウ先生は人に読んでもらうことと考えており、僕もそう思う。それに加え、起承転結をハッキリさせることや、よりシンプルな話にする必要がある。起承転結に関しては、出来上がったプロットを4コマ漫画にする。読み切りで伝わるシンプルなもの、と言っても具体性は無いが、ボーイミーツガールのような形式なら無理なく描けるはずだ。

 

2. キャラクターに魅力が無く、感情移入できない

 ジャンプは今も昔もキャラクター重視である。これが出来ていないのも駄目で、僕は駄目だった。

 原因としては、話の本筋に関わる主要なキャラクターを話の半ばで出したことにある。そのため、主人公が訳の分からない世界観に対応しきれず、説明役も上から目線なだけで全く共感がされなかった。かの空知英秋先生も、前述した同冊子内にて、5ページ前後で話のルールを提示することを挙げている。これを課題点にする。5ページ以内に主要キャラの登場及び、話の本筋の提示を目指す。

 また、附田優斗先生は、キャラが立ってないのは、キャラの個性を引き出す「場面」が無いからだと考えており、キャラ主導のジャンプに向いている考え方だと感じた。また、「端的に言い表せるキャラ像」も重視しており、僕もこれを採用しようと考えている。ちなみに、編集はルキアについて、「絵が下手」を第一印象に何回か挙げていたが、一度KBTITに謝った方が良いと思う。

 また、キャラ数は少なくした方が良い。松井優征も、最低限を簡素に伝えることを意識しており、参考にしたい。

 

3. 一度漫画の形式で描いた方が良い

 これに関しては難しい。時間の問題があるからだ。前述した内容によって、より描く時間が減るからだ。故に、描ける時間で描き切ったネームをどんどん編集部に持ち込むことを最優先する。また、日頃から構図を意識した物の見方をすることしか今にできることは無い。

 しかし、漫画の「写経(完成原稿からネームにする)」ことは始めたい。見開きを1日3回、6ページ練習する。

 

 以上である。また、演出に関しては、キャラや話とズレてはいるけども、伝えたいことが分かったとの回答を得ており、希望も見える。しかし、基本はゴミなので、0歩が0.1歩になったという認識しかない、何せ5分で終わったのだから。だが、今までの0から一転した。

 次回以降に対して、今後の目標を立てたいと思う。

  • 短期目標:今回を除く3回以内の持ち込みで担当を付ける
  • 中期目標:1年以内に雑誌掲載
  • 長期目標:2年以内に連載

一先ずこれを目標にする。さあ頑張ろう。

 

※次回第2話は11/18(日)以降を予定しています。

※参考サイト様

www.shonenjump.com

 

供養 『BORDER PORT』

  • 企画力:1
  • ストーリー:1
  • オリジナリティ:2
  • キャラクター1
  • 演出力:3
  • 計:8/25

※ジャンプ月例賞の基準を採用しています。