胃腸が銀杏に響く

ヘンゼルとグレーテル的夢の軌跡

第1.5話 ジャンプへのネーム持ち込みと課題点(2)

 8連勤。もはや19歳の大学1年生がこなすスケジュールではない。

 朝から講義に出席し、空きコマはサークル活動、4限が終わり次第22時までバイト、これを平日は全て行う。目を瞑り、もう一度開けば日付が変わる。時間感覚はとうに流れて消えたのだ。

 

 時に、統合失調症の総人口に対する割合は、未開部族でも大都市でも決まって1%であるという。故に、年末の大阪梅田なんて土地にはそれは多くの「お客様」が集まる。

 今日もまたその被害にあった。

 何故、学費も生活費も自分で捻出し、借金までして大学に通い、勤務態度も問題の無い非常に優れた人間である僕が、0dbの声で言われた支払方法を聞き直しただけで、態度の悪さを指摘されなければならないのか。本来ならこの中年男性は、僕の目の前で土下座をして靴を舐め、神様仏様と僕を仰ぎながら、糞尿を撒き散らしそれを手ずから食らい、代金の10倍を支払った後射殺されるのが筋であるというのに。それを僕の御計らいでここで酸素を吸わせてやっているというのに。スーツの身なりが社会に対してのこれ以上ない程の侮辱である。経営職の方は「交通事故」と言って僕を宥めていたが、無免許運転する人間に道交法が通じるとは思えない。人権を度外視してでも目の前で息の根を止めるべきであろう。

 

 そんな被害に遭う1週間前、神田神保町に僕はいた。

 神保町は良い町である。御茶ノ水や神田、水道橋とイベント施設や有名大学、サブカルに囲まれた中、古今東西様々な本が置いてある。大阪梅田も本屋の街として優れてはいるが、梅田は幅広くカバーしている大型書店が連なり、神保町は小型のジャンル毎に分けられた書店が並ぶ、本の探しやすさは似たり寄ったりな部分があるが、本屋が並ぶ街並みは歩いているだけでも楽しいものである。

 集英社はそこを少し行った先にある。

 受付を済ませ、ブースに足を運ぶ。ジャンプ編集部が入るビルは銀行のすぐ横で、道を挟んだ向かい側にはファッション誌の編集部がある(と思う)。付録が良いとすぐに売り切れるSPURとかの編集部だ。少し前に、&ROSYがアルマーニの口紅を付録にして1日で150冊売り飛ばしたことがあったが、女性は現金である。それ以上にジャンプの編集部は現金である。いつでもワンピースやドラゴンボールを探している。正直世代じゃないから出ないだろうに。

 

 結論として、評価は良かった。

 キャラクターは魅力を持ってもらえたし、前回よりも適切なアドバイスが貰えた。もっとも、前回がその価値も無い作品だったことを言うべきではないが。

 今回の持ち込みで言われたことは主に4つ

  • 一発ネタから広げる
  • キャラクターの感情の変化を中心に据える
  • 会話だけで読ませるのは難度が高い
  • 絵が欲しい

 まず1つ目は、物語の世界観に奥行きを持たせることだ。ジャンプ編集部としても、連載を意識したものを描いて欲しいとのことだろう。

 2つ目は、キャラクターが読者から遠いこととも影響している。キャラの心情変化を中心に物語を描けば自然とキャラに人間味が現れ、読者からの共感を得られるとのことだろう。

 3つ目は、誤算であった。確かに、ジャンプ作品の中で会話中心の話は特に少ない。場面変化の少ない作品は読み飛ばされるということである。

 そして4つめだ。これはやはり切っても切り離せないものなのだろう。次は絵を描いて持って行く。

 

 ここまで簡潔に書いたのは、実はこの後週刊少年マガジンガンガンJOKERに持ち込みをしたためだ。そこそこの高評価とボロクソを貰ったが非常にためになった。

 ハッキリ言うと、ここ最近が忙しすぎてまだ全部の意見を纏められてないのだ。しかし、新作はしっかりイメージ出来ているし、今作の直しが良い評価を受ければ掲載も狙えるレベルである。

 だがそれを書くには、この余白は狭すぎるということで。

 次回更新は未定ですが、次回作が纏まり次第方針は書いていきます。